[高気圧酸素] 日本気圧バルク工業株式会社、神戸大学大学院

第76回 2021.9.17-19

【背景】 ナチュラルキラー(NK)細胞は自然免疫を代表する免疫細胞であり、特定な抗原がなくとも異常な細胞を排除する作用がある。2から3気圧の高気圧酸素では免疫機能を向上することが報告されているが、軽度高気圧酸素環境(1.2-1.4気圧、mHBO)が免疫機能に与える効果については知見がない。
【目的】 mHBOへの曝露がNK細胞とサブセットの強陽性NKbright細胞及び弱陽性NKdim細胞に及ぼす影響について検証することを目的とした。
【方法】 中高年者8名を対象に60分間のmHBO(1.4気圧、酸素濃度40%)曝露前後に採血し、CD3、CD16、CD45、CD56をラベルしたNK細胞及びNKbright細胞やNKdim細胞のサブセットをフローサイトメトリーで測定した。また、酸化ストレスマーカーである血清d-ROMs値を測定した。
【結果】 mHBOによりNK細胞数の増加が観察され、NKbright細胞やNKdim細胞数も増加が見られた。NKbright細胞・NKdim細胞比には変化がないことからmHBOはNK細胞全体の増加を誘導した。一方、mHBO前後のd-ROMs値には変化がみられなかった。
【考察】 軽度高気圧酸素は酸化ストレスを与えず、NK細胞数を増加させ、サブセットであるNKbright細胞及びNKdim細胞の両方を増加できる。
【結論】 mHBOは安全な環境であり、免疫機能を亢進できる健康増進装置として利用できることが示唆された。




[高気圧酸素] 日本気圧バルク工業株式会社、神戸大学大学院

第76回 2021.9.17-19

【背景】 軽度高気圧酸素(mHBO)環境は酸素が血漿に溶解する溶存酸素や赤血球に結合する結合酸素の増加で血中酸素濃度を上昇させる。
【目的】 本研究では脳における簡素化ヘモグロビン濃度を測定し、mHBO曝露が前頭葉の組織酸素動態に与える影響を検証した。
【方法】 若年健常女性7名を対象とし、mHBOルーム内で通常気圧酸素濃度(1.0ATA,酸素濃度20.9%)環境とmHBO(1.4ATA,酸素濃度30.8%-39.5%)環境の2条件で、安静坐位で動画を鑑賞しながら70分間滞在させた。各々の環境下での心拍変動と脳前頭葉の組織酸素ヘモグロビン濃度を測定した。
【結果】 通常気圧酸素濃度環境と比較し、mHBO環境滞在70分後の副交感神経活性は増加した。また、脳前頭葉における酸化ヘモグロビン濃度は通常気圧酸素環境下では低下する傾向がみられたが、mHBO環境下では増加することが観察された。
【考察】 mHBO環境では血中酸素濃度が上昇することで組織酸素濃度を増加させることができ、前頭葉の酸素動態を増加させたものと考えられる。
【結論】 軽度高気圧酸素環境は脳組織の簡素化ヘモグロビン濃度を増加させることが可能であることが示唆された。




[高気圧酸素] 日本気圧バルク工業株式会社、神戸大学大学院

第76回 2021.9.17-19

【背景】 軽度高気圧酸素療法(mHBO)は、メタボリックシンドロームに対して有効であることが認められているが、血球数と免疫細胞に対する効果は明らかではない。
【目的】 兼用者のナチュラルキラー(NK)細胞、血球数、心拍数に対するmHBO曝露の影響を検証した。
【方法】 健常女性12名(24.3±2.4歳)を高気圧酸素ルーム内でmHBO(1.4気圧、酸素濃度35%-39.5%)に70分間曝露させた。赤血球、白血球、およびNK細胞は、mHBO曝露の前後に血液分析装置とフローサイトメトリーによって測定した。CD3、CD16、CD56、およびCD69で標識されたT細胞、NK細胞サブセット、および活性化NK細胞を測定した。
【結果】 mHBO曝露後、心拍数は減少した(p=.005)。赤血球と白血球の数は曝露後に増加した(それぞれp=.005、p=.003)。血中ヘモグロビンは曝露後に増加傾向を示した(p=.08)。さらに、総NK細胞、NKbright細胞及びNKdim細胞はmHBO曝露後に増加した(それぞれp=.02、p=.004,p=.02)。
【考察】 mHBO曝露は心拍数を減少させ、白血球と赤血球、NK細胞の数を増加させた。
【結論】 mHBO曝露は心拍数を低下させ、血液単核細胞を増加させる可能性があり、免疫応答を強化するための有用な手段となる可能性が示唆された。




[高気圧酸素] 日本気圧バルク工業株式会社、神戸大学大学院

第76回 2021.9.17-19

【背景】 軽度高気圧高酸素(mHBO)環境は酸素が血漿に溶解することで血中酸素濃度を増加させ、組織の代謝を改善させる。これまでの動物による検証で骨格筋の酸化代謝酵素の増加や脂肪細胞の縮小が報告されている。
【目的】 本研究では健常者におけるmHBO曝露が全身のエネルギー代謝と脂肪燃焼に与える影響を検証することを目的とした。
【方法】 若年健常者9名を対象とし、mHBOルーム内で通常気圧酸素濃度(1.0ATA、酸素濃度20.9%)とmHBO(1.4ATA、酸素濃度30.8%-39.5%)の2条件で70分間滞在させた。各々の環境下での酸素消費量及び安静時代謝量を測定した。また、5名については呼気中のアセトン濃度を測定し、脂肪燃焼の指標とした。
【結果】 通常気圧酸素濃度環境と比較し、mHBO環境滞在後の酸素消費量及び安静時代謝量は有意に増加を示した。また、mHBO環境後の呼気アセトン濃度は、通常気圧酸素濃度環境に比較し、増加を示した。
【考察】 mHBO環境は組織の代謝を亢進させ、脂質代謝を促進することが示唆された。
【結論】 mHBO環境は酸素消費量を増加させることで脂質代謝を増加させる効果があると考えられる。
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