[高気圧酸素] 神戸大学大学院、日本気圧バルク工業株式会社、京都大学大学院

第75回 2020.9.24-26

【背景】 高気圧高酸素は酸素が血漿に溶解することにより血中酸素濃度を増加させる。本研究は健常者に対する軽度高気圧高酸素(mHBO)暴露が末梢組織の微小循環と副交感神経活性に与える影響を検証した。
【方法】 健常者15名(24.6±4.9歳)を対象とし、mHBOチャンバー内で通常の気圧酸素濃度(1.0ATA、酸素濃度20.9%)とmHBO(1.4ATA,酸素濃度30.8-39.5%)の2条件で各々70分間滞在させた。測定項目は、動脈血酸素飽和度、皮膚温、皮膚水分量、指尖と皮膚の毛細血管の血流速度、心拍数とした。
【結果】 mHBOでは動脈血酸素飽和度が100%になり、毛細血管の血流速度は指尖で90μm/秒から126μm/秒に増加し、皮膚で52ml/分から69ml/分に増加した。さらにmHBOでは心拍数が低下し、FFT解析で副交感神経活性の上昇が確認され、皮膚温、皮膚水分量も増加した。
【結論】 mHBOへの滞在は副交感神経活性の上昇に伴って末梢組織の微小循環を促進することが明らかになった。




[高気圧酸素] 神戸大学大学院、日本気圧バルク工業株式会社、京都大学大学院

第75回 2020.9.24-26

【背景】 糖尿病骨格筋では速筋優位に筋量や機能が低下する。軽度蒸気圧高酸素暴露(mHBO)は高血糖や骨格筋酸化能の改善作用が報告されており、糖尿病に伴う速筋の筋量や代謝機能の低下予防にも効果が期待できる。
【目的】 糖尿病骨格筋の筋量及び代謝機能に対するmHBOの効果を検証することを目的とした。
【方法】 雄性Wistar系ラットにストレプトゾトシンを尾静脈投与して糖尿病モデルを作製し、mHBO(1.25気圧、酸素濃度36%、3時間/日)による介入の有無で2群に区別した。また、同週齢の対象群を設けた。8週間後、長趾伸筋を摘出した。
【結果】 糖尿病群では対照群に比較して長趾伸筋重量が減少し、速筋線維横断面積が低値を示した。また、活性酸素種の産出増加、ミトコンドリアDNAコピー数の減少、CS活性の低下、アポトーシス指標であるBax/Bcl-2比の増加がみられた。一方、mHBOは糖尿病に伴う活性酸素種、ミトコンドリア量、CS活性、アポトーシス因子の変化を減衰し、長趾伸筋における速筋線維の萎縮を軽減させた。
【考察】 mHBOによる筋量減少及び代謝機能の軽減効果には酸化ストレスやミトコンドリア機能不全を介するアポトーシスの抑制が関与したと考えられる。
【結論】 軽度高気圧高酸素暴露は糖尿病に伴う速筋筋量及び代謝機能の低下を軽減する。
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